「日本の温室効果ガス排出削減の中期目標(NDC)に対する意見書」を公表しました

2020.4.3

 

据え置きとなった削減目標には懸念が残るものの、
野心的な削減目標設定への強い意思表明を支持し、早期かつ具体的な引き上げを期待します

 

 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(以下、JCLP)は、「気候変動が社会の安定、ひいてはビジネス活動への重大な脅威である」との認識の下、脱炭素社会への転換期に求められる企業となることを目指す、様々な業種から141社が参加するネットワークです。

 

 国際社会は、気候変動の甚大な被害を避けるべく、気温上昇を2℃(1.5℃)以内に抑えること(いわゆる2℃目標(1.5℃努力目標))に合意しています。さらに、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2℃の被害が想定より大きいこと、気温上昇を1.5℃に抑制するには、2050年までに世界全体で温室効果ガスの排出をネットゼロにする必要があることを示しました。また、JCLPでは、これらを踏まえ、2019年11月に、2℃(1.5℃)と整合する日本のNDCの引き上げを求める意見書(添付参照)を発信しています。

 

 しかしながら、今般日本政府が国連へ再提出することを決定したNDCは、2℃(1.5℃)目標達成に貢献し得る意欲的な引き上げを伴わない、現行の削減目標(2030年度に2013年度比▲26%(2005年度比▲25.4%)を据え置いた内容となっています 。

 

 今回の決定は、緊急性のある気候危機への対応としては不十分であると言わざるを得ず、また、気候変動対応が企業競争力に影響する中、海外の取引先企業や投資家に対して日本の気候リスク(特に移行リスク)が増大するとの印象を与えかねないことに関して懸念を表します。

 

 一方、今回の決定では、更なる削減努力を追求すること、地球温暖化対策計画の見直しに着手し、その後追加情報を国連へ提出すること、エネルギーミックスの改定を踏まえ野心的な削減数値の設定を目指すことなど、今後の削減目標の引き上げへの意思を明確に示した点も見られます。東日本大震災後のエネルギー政策など様々な制約を踏まえつつも、日本が更なる野心度を持ち行動を起こすことを明らかにしたことをJCLPは強く支持するとともに、早期かつ具体的な引き上げを実現することを期待します。

 

 JCLPは、エネルギーミックスなどの重要な政策の動向を注視するとともに、企業の立場からそれらの政策の前進に貢献できるよう、RE100をはじめとする企業活動の脱炭素化や、政府への提言、社会への情報発信を行って参ります。

 

200403_NDC意見書

 

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