「日本の次期温室効果ガス削減目標およびエネルギー基本計画に対する提言」を公表しました。
脱炭素、エネルギー安全保障の向上、経済成長に向け、
1.5℃目標に整合した目標設定を求める提言を公表
本日、脱炭素社会の早期実現に取り組む244社が加盟する企業グループである日本気候リーダーズ・パートナーシップ(以下 JCLP)は、「国が決定する貢献(NDC)」の提出及び第7次エネルギー基本計画の策定に向けた提言を発表しました。
エネルギー安全保障を強化し、脱炭素移行をめぐる国際競争で勝ち抜くため、日本の脱炭素政策の一層の強化が必要との考えのもと、以下を提言しています。
提言(1): 2035年までにGHG排出量75%以上削減(2013年度比)を求めます。
- 国際合意の基礎であるIPCCは、気温上昇を1.5℃に抑えるため、世界全体で67%の削減(2013年度比)が必要と指摘。 日本は、世界をリードする先進国として、より高いレベルの削減が必要。
- 国際合意・各国政策は「1.5℃目標」に近づくように一貫して変化。日本でも官民で共有できる目標を持つことが、企業に中長期の見通しを与え、投資を促す。
提言(2): 2035年の電源構成における再エネ比率60%以上を求めます。
- 国際的に企業の競争力を維持・向上させるため、安価・安定的に再エネが調達できる市場環境が必要。
- 電化・デジタル化で電力需要が増加しても、 エネルギー利用を効率化し 、再エネ中心の電力システムで安定供給と電力の脱炭素化は可能。
- 再エネの普及拡大と産業化は、エネルギー安全保障(自給率向上)に寄与。海外への資本流出を減少させ、毎年15兆円以上を国内に振り向け、新たな産業と雇用を産み、経済の好循環を実現。
提言(3): エネルギー需要家の参画機会を増やす等、政策の「決め方」の改善を求めます。
- 今後のエネルギー需給で重要な役割を果たす先進的な需要家の声を政策検討に活かすことを求める。
- 業種・立場のバランスの取れた政策決定プロセスであるべき。また、積上げだけでなく、科学と国際合意を踏まえたバックキャストも政策検討に組み込むべき。
加えて、2035年までにGHG排出量75%以上削減、再エネ比率60%以上を実現するため、「再エネ」「建物」「自動車」「製造業」「カーボンプライシング」の5つの部門についての具体的な政策提言も行なっています。
提言の背景
気候危機は確実に進行し、社会経済の基盤を脅かしつつあります。日本を含め世界各地で気象災害が激化し、WHOは気候変動による健康被害で毎年25万人の死亡者増を予測しています。損害保険の高騰・引き受け停止や労働生産性の低下など、経済活動への影響も顕在化しています。
このような状況を背景に、企業のGHG排出削減への要請が一層強まっています。再エネの調達を始めとする脱炭素化の実践状況は企業競争力に大きく影響するため、脱炭素化の遅れは日本の産業基盤を毀損しかねません。
世界的に気候変動政策と産業政策の統合が進み、各国は脱炭素投資の自国への呼び込みと、世界の成長マーケットの獲得を競っています。
このような強い危機意識のもと、JCLPは、気候危機の進行を食い止め、脱炭素への移行をめぐる国際競争を勝ち抜くため、日本の政策の一層の強化が必須と考えます。
1.5℃に整合する日本の目標は、企業の意思決定にとって重要
企業が効率的・効果的に経営の意思決定を行うために、中長期的に通用する、一貫性のある方針や目標を示すことが重要です。これまで、国際的潮流や各国の政策は、気候科学の知見や気候危機の進行に照らし一貫して脱炭素化を加速する方向に変化してきました。1.5℃目標に整合した国の目標設定を官民が共有することで、企業は確信を持って脱炭素化に取り組むことができます。
再エネ・脱炭素は国益に資する
再エネの導入加速はエネルギー自給率向上の最も合理的な選択肢です。本提言が示す規模感で再エネ導入を進めれば、エネルギー自給率を足元の約12% から、2035年に約40%、2040年に約60%、2050年には90%以上まで高めることができます。結果、2035年の化石燃料使用量は現在の4割程度に減少し、毎年海外に流出していた資金のうち15兆円以上を国内に還流することが可能になります。
再エネ導入とエネルギー利用効率化で、エネルギー自給率を飛躍的に高めることができる

太陽光発電や風力発電は、部品の一部を輸入に頼る現在でも投入資金の国内への還流率は火力発電に比べて高くなっています。今後成長が見込まれるペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力、蓄電池などの国産化で、国内への資金還流率はさらに高まります。日本の高い技術力を活かした再エネの国内産業化は、日本の国益の増進に大きく貢献します。
政策の「決め方」も改善が必要
脱炭素化推進にあたっては、エネルギーの供給と需要の両面が連携した変化が欠かせません。特に今後は、電化の推進、デマンドレスポンス、徹底的なデジタル活用など、エネルギー需要家の役割はますます重要となりますが、現状では、エネルギー政策が議論される審議会等に需要家が参加できる機会が非常に限られています。最近では、再エネ調達条件の変更に関する議論に需要家が参加できず、混乱が生じる事態も起きています。日本企業の多数を占める需要家が、より積極的に政策の検討に参画できるよう改善することと共に、業種・立場のバランスの取れた政策決定プロセスを整備することを求めます。
提言詳細はこちらの全文をご覧ください。
プレスリリースのダウンロードはこちらから。
本件に関するお問い合わせ
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)事務局
Tel: 046-855-3814 Email: info-jclp@iges.or.jp