COP28報告会・懇親会を開催しました(第3回「気候危機に取り組む国会議員と企業の交流会」)

2024.1.12

 

 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は、次期エネルギー基本計画や温室効果ガス排出削減目標の検討に向けて、パリ協定に基づく1.5℃目標を実現する政策および実践を加速するための連携強化を目的に、COP28視察報告会・懇親会(兼 第3 回 議員交流会)を開催致しました。

 

 JCLP では、1.5℃目標を実現する政策には政治的リーダーシップが不可欠との認識の下、昨年から「気候危機に取り組む国会議員と企業の交流会」(議員交流会)を開催し、国会議員との意見交換を重ねてきました。本会はその3回目として、伊藤信太郎 環境大臣、山口那津男議員(公明党代表)、「超党派カーボンニュートラルを実現する会」共同代表 小渕優子議員(自由民主党)、同 古川元久議員(国民民主党)、同 笠井亮議員(日本共産党)をはじめ、35 名の国会議員にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。

 

【開催日時・場所】

日時: 12月19日(火) 16:00 – 19:00

場所:虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズ森タワー5 階)

 


【プログラム】

第1部(COP28視察報告会)

 

開会挨拶

大島理森 JCLP特別顧問

 

 2020年に国会の気候非常事態宣言決議を牽引した議員の方々が中心となり、今年、超党派の議員連盟が発足したことに心から感謝するとともに、大いに期待している。
 中東開催のcopで世界が化石燃料脱却に合意できたことは大きな成果。日本には、率先垂範により世界を牽引してほしい。

 

 

来賓挨拶

山口那津男 議員 公明党代表

 

 菅前政権発足時の連立政権合意に「脱炭素社会の構築」を盛り込んだことを皮切りに、国政を上げてカーボンニュートラルを推進してきた。
 気候危機の実態は極めて深刻。将来世代に希望ある地球環境・生態系を残すべく、国内外および全国地域で具体的且つ迅速な取組みが今こそ必要。
 各党・各議員と協力し合い、JCLPとも理念を共有しながら、着実に実践の成果をあげていきたい。

 

 

来賓挨拶

小渕優子 議員 「超党派カーボンニュートラルを実現する会」共同代表

 

 「超党派カーボンニュートラルを実現する会」を発足し、党派を超えて活動してきた。
 今年は日本全国が異常な暑さとなり、気候変動の影響を肌身で感じた。一方、各国の目標を実行しても気温上昇を十分に抑えられない状況。
 次の世代のために今やるべきことをしっかり進めていかなければならない。企業の取組みに刺激を受けつつ、政治が更に覚悟とリーダーシップを持って取り組んでいきたい。

 

 

来賓挨拶

古川元久 議員 「超党派カーボンニュートラルを実現する会」共同代表

 

 気候非常事態宣言決議の時から気候変動への危機認識を全ての会派で共有してきた。だが、気候変動は止まらず、人類の生存や生物多様性へのリスクは高まっている。
 「地球沸騰化」と言われる時代を迎えたいま、必要なことは「アクション(実行)」である。
 議員が党派を超えて先頭に立って行動を加速し、国民全体が行動できるように環境を整備したい。

 


 

JCLP COP28視察報告

 

三宅香 JCLP共同代表

三井住友信託銀行株式会社 ESGソリューション企画推進部 フェロー役員

 

 世界のルール・セッターと直接対話し、世界の潮流・背景を深く理解するとともに、脱炭素に取り組む企業の声を届け、国際交渉を後押しするべくCOP28に参加した。
 気候変動の物理リスクが増大し、保険の機能停止など、経済の基盤が揺らいでいる。企業のサプライチェーンにおける間接損失も深刻。
 他国では、気候変動政策と経済・安全保障・産業政策が一体的に推進されており、民間投資が急拡大している。政策導入による排出削減効果の見通しも明確。
 日本でも、政策が企業の投資を促し、企業行動が政策の前進を後押しする、政策と企業行動の好循環を起こしたい。そのためには、官民で1.5℃目標実現の道筋・見通しの共有が必要。

 

山下良則 JCLP共同代表

株式会社リコー 代表取締役会長

 

 COP28のジャパン・パビリオンで1.5℃を実現する日本の道筋(ロードマップ)をテーマとするサイドイベントを行った。
 需要側の大胆なアクションによりエネルギー需要を削減するとともに、再エネを迅速・大幅に拡大すれば、経済合理的に脱炭素を進められるだけでなく、日本のエネルギー自給率向上にも寄与することが可能。
 パネルディスカッションでは、国際エネルギー機関(IEA)などの専門家から高い評価があった。
 次の日本の温室効果ガス排出削減目標やエネルギー基本計画の検討に向けて、政策の前進を後押しする企業行動につなげていきたい。
 「地球は祖先から承継したものではなく、子孫から借りているもの」という格言がある。次世代のためにも、皆さんと協力して取り組みたい。

 

 

COP視察団の参加者よりコメント

 

細井聡一 芙蓉総合リース株式会社 代表取締役副社長

 

 5年前に国連総会の視察に参加した際、気候変動は環境だけでなく、経済・産業の問題でもあると気がついた。

 今回、主要国は気候変動政策と産業政策を一体化させて更に強化・加速していると感じた。

 国際動向を注視しながら、本日お集まりの皆様と協力して取り組んでいきたい。

 

 

大塚尚子 富士通株式会社 グローバルビジネスソリューション ビジネスグループ ソーシャルソリューション事業本部長

 

 初めてCOP視察に参加して、諸外国ではいかに官民が本気で気候変動対策に取り組んでいるかを実感。

 デジタルで社会課題を解決するため、普段から気候変動分野でも多くの企業と接しているが、欧米の方が踏み込んでいる企業が多いように感じる。

 自社の海外での取り組みを日本に持ち帰って、日本でも大きなうねりをつくっていきたい。

 

 

小山勝弘 JCLP副代表 大和ハウス工業株式会社 経営本部 サステナビリティ統括部長

 

 ドイツで開催されたCOP23から6年ぶりに参加。

 前回は様々な国際イニシアチブについて学び、その後、RE100やSBTに参加して自社の脱炭素を推進してきた。

 今回、欧州のCBAM、米国のIRA、GFANZなど、経済システムそのものを変革させて脱炭素を推進する動きを目の当たりにした。

 もはや、今までのビジネスモデルを維持したやり方では通用しない。より大きな変革に取り組みたい。

 


総評(日本政府代表団)

伊藤信太郎 環境大臣

 

 COP28では、「1.5℃目標の実現が最も重要であり、そのための具体的な行動が喫緊に求められている。各国の状況は異なるが、意見の違いを乗り越えて地球全体の持続可能性のために協力する必要がある」 と強く訴えてきた。

 孫の世代だけでなく、自分達の将来も危うくなるとの危機意識を各国が共有し、なんとかして1.5℃目標を守ろうとする中で合意文書が採択された。

 COP28で合意した事項を実践し、次期NDCや次回COPに活かしてしていく必要がある。

 皆様と力を合わせて、ひ孫の世代まで持続可能な社会や生態系を残せるよう全力を尽くしたい。

 

 

吉田宣弘 経済産業大臣政務官

 

 COP28ではエネルギー・産業関連の各種会合や会談に参加し、脱炭素に向けて日本が国際社会をリードしていくという強いメッセージを発信。

 日本の脱炭素技術やスタートアップに対する世界の強い期待を感じた。

 経産省としても産業界や関係省庁と密接に連携し、日本および世界の脱炭素化に向けて貢献していきたい。

 

 

第1部全景