議員連盟「超党派カーボンニュートラルを実現する会」の勉強会に出席しました。

2023.5.29

気候変動の最新の科学的知見と政策への示唆について、専門家が解説
JCLPの政策提言の紹介も実施

 

日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が主催した「気候危機に取り組む国会議員と企業の交流会」が契機となり発足した超党派の国会議員連盟「カーボンニュートラルを実現する会」の勉強会が、下記のとおり開催されました。

 

日時:2023年5月25日(木)10:00-11:00
場所:衆議院第一議員会館 多目的ホール

 

議連の共同代表による開会の挨拶

 

勉強会には約60名の国会議員(代理出席含む)が参加し、JCLP特別顧問の大島理森前衆議院議長が来賓として挨拶をしました。気候変動の専門家2名による講演後には、国会議員との活発な質疑応答・意見交換がなされました。メディアや企業関係者も100名超が傍聴し、盛況な会となりました。

 

また、勉強会後半にはJCLP広報PJ(プロジェクト)の幹事企業が「イベント・アトリビューション研究の活性化を求める提言書」の紹介を行いました。

 

来賓挨拶(大島理森前衆議院議長)

 

  • 本勉強会のように、現職の議員が超党派で集まり、気候変動問題を勉強し合う機会は少なかったので、大変嬉しく思っている。
  • 先日のG7広島サミットにおいても、気候変動は大きなアジェンダとして議論されている。この議論の結果を受け止め、日本の政治として着実に進めていく必要性を感じている。
挨拶をする大島理森特別顧問  

 

 

講演① 「最新の科学的知見 気候変動の現在地と将来予測」

 

  • 脱炭素化の転換は人類にとって、やらないと酷いことになるだけでなく、早くやった方が絶対に良い。気候変動の影響が抑えられるだけでなく、健康や公平性も改善。
  • そのために必要な資金も、技術の大部分も、人類は持っている。今すぐ急激に舵を切らないと、実現不可能になってしまう。
  • しかし、現状の転換スピードは全く足りておらず、投資も不十分(現状の3~6倍必要)。インフラや社会システムが化石燃料依存のパターンから抜け出せていない。
  • 脱炭素化の敗者を産み出さないよう利害調整や納得感を醸成しつつ、政治主導によって転換を加速させていく事が重要。
江守正多 
東京大学未来ビジョン研究
センター教授 / 国立環境研究所
 

 

 

講演② 「世界の脱炭素と今後の日本への示唆」

 

高村ゆかり 
東京大学未来ビジョン研究
センター教授

  • 1.5℃目標達成にはここ10年の取組みが決定的に重要との認知が拡大し、世界各国の気候変動対策が加速。
  • 気候変動対策は、エネルギー安全保障、雇用、産業競争力の強化、地域振興など多くのベネフィットを創出する。
  • 2つの時間軸で「今」行うべき対策を考える必要
  • ①今ある技術を最大限活用した足元の排出削減加速 ②1.5℃目標と整合的な長期的な移行(トランジション)
  • 特に、使用年数が長いインフラ(発電所、建築物、交通インフラなど)については「今」の決定が将来を決める(意思決定を誤れば座礁資産を生むリスク)。
  • 明確な政策目標(2030年など中間目標)、カーボンプライシング、各種規制の導入などを通じて、インセンティブを創出し、企業・個人の先行的な取組みを後押しする必要。

 

参加議員による質疑応答・コメント

 

 

  • 全世界が重要性を認識し、科学的知見に基づいてアプローチすることが重要。
  • 然るべき対策を取らなければ手遅れになる。政治家としてしっかり取り組んでいかなければならないと感じた。
  • 排出量の少ない地域・脆弱な人々の方が、気候変動の影響を大きく受ける。日本は先進国として責任と自覚を持ったアクションが必要となる。
  • 未来の技術より今すでにある技術の早期普及が重要という点が印象的。そのためにもコスト障壁に対処し、既存の技術が採算をとれるような政策を作る事が重要。

 

 

JCLP企業より「イベント・アトリビューション研究の活性化を求める提言書」の紹介

 

德永章 JCLP副代表・広報PJ幹事
(スリーエムジャパン株式会社政務渉外本部本部長)
髙野明彦 JCLP広報PJ幹事
(株式会社メンバーズ代表取締役兼社長執行役員)

 

  • 国民の理解を得るには、より多くの国民が気候変動を「自分ごと」と考え、健全な危機感を共有することが必要。
  • 異常気象と気候変動の関連を明らかにする研究(イベント・アトリビューション)を強化することで、より多くの報道で両者の関係性が言及され、国民の認識・理解が促進される。
  • 本提言書では日本における研究体制(予算・体制・連携)拡充のもと、速報性・網羅性・発信力の強化を求めている。

 

  提言書本文はこちら

 

会場の様子(多くのメディアや企業も参加)