COP27視察団情報

2022.11.9

 

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JCLPは、エジプトのシャルム・エル・シェイクにおいて現在開催されている国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に視察団を派遣し、11月9日~12日の間、各分野のリーダーやルールセッターとのバイ会合やイベントでの登壇を行っています。

現地のイベント・会合情報を本ページ上で随時更新いたします。

 

DAY1 : 11月9日(水)の様子

DAY2 : 11月10日(木)の様子

DAY3 : 11月11日(金)の様子

DAY4 : 11月12日(土)の様子

 


11月9日(水)

9:00~10:45 ランセット・カウントダウンとの会合

 

ランセット・カウントダウン概要:

著名医学誌であるランセット(Lancet)が主宰する、気候変動と健康問題についての国際共同研究プロジェクト。2016年に発足。35以上の大学や、WHO、世界銀行等から、公衆衛生専門家、医師、気候科学者、エンジニア、経済学者ら120名以上が参加。「過去50年の公衆衛生の進歩を、気候変動によって後戻りさせない」を基本方針とし、関連研究のとりまとめ、気候変動と健康に関する各種指標の年次での計測、独自の政策提言などを実施している。

 

会合相手:

  • アンソニー・コステロ氏 ランセット・カウントダウン共同議長/ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)グローバル・ヘルス研究所所長
  • マリーナ・ロマネッロ氏 ランセット・カウントダウン事務局長/ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)研究者
  • クリスティ・エビ氏 ワシントン大学 健康・地球環境センター 教授
  • ルネーイ・サラス氏 マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部 助教

 

会合目的:

  • ランセット・カウントダウンの背景や意義、活動内容を知ることで、気候変動が「環境」の領域を超えた広がりの一端を知る。
  • 「健康・公衆衛生」という側面から気候変動の影響や、それらが海外でどの程度認知されているのかを知ることで、国際社会における気候変動の「位置づけ・優先順位」を把握する。

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13:15~14:15 オーステッドとの会合

 

オーステッド概要:

デンマーク籍の洋上風力世界最大手企業。1991年に世界初の洋上風力発電所を稼働させ、洋上風力発電市場の端緒を開いた。1970年代に国営の石油・ガス会社として発足し、2008年までは同社の発電する電源構成の約85%が化石燃料という状態であった。これを再エネ85%、化石燃料15%に転換させる目標を立て、2019年に達成(当初は2040年頃の達成を目指していたが、20年以上前倒し)。現在の再エネ比率は90%以上。所謂「クリーン・スーパーメジャー」の一角。

 

会合相手:

マッズ・ニッパー氏 オーステッド CEO

 

会合目的:

かつて化石燃料依存度が高く、国営企業でもあった同社が、「クリーン・スーパーメジャー」とも称される世界の再エネ大手企業へと、わずか10数年の間にどのように転身を遂げたのか多面的に学び、日本のエネルギー転換に向けた示唆を得る。

 

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17:00~18:30 ジャパン・パビリオンにてイベント開催

 

ジャパン・パビリオン概要:

日本政府が設置するイベント・展示スペース(各国・各団体が設置するこのスペースを「パビリオン」と言う)。COPの場で、日本の取組や技術について効果的に発信することを設置目的としている。パビリオン内のイベント会場では、中央省庁、関連機関、民間企業等によるセミナーが開催される。展示会場では、気候変動への適応・緩和、CO₂の有効活用の各テーマに沿った取組紹介や技術展示、福島の復興と環境の取組紹介がなされる。

 

イベント概要:

  • テーマ:「日本において企業は如何に脱炭素化を加速できるか」
  • 形式:パネルディスカッション
  • 登壇者(順不同):

    パー・ステンマーク氏 Inter IKEA Groupグループ 最高サステナビリティ責任者

    エリオット・ウィティングトン氏 Climate Leaders Groups ディレクター

    岩﨑真人氏 武田薬品工業株式会社 代表取締役 日本管掌/JCLP共同代表

    三宅香氏 三井住友信託銀行株式会社 ESGソリューション企画推進部 主管/JCLP共同代表

    遠藤理恵氏 株式会社セールスフォース・ジャパン 執行役員

 

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11月10日(木)

9:00~13:00 The New York Times Climate Forward Conversations

 

イベント概要:

第一線で活躍するニューヨーク・タイムズの記者が、各分野の有識者らに鋭い質問を投げかけることで、世界の潮流やCOP27の論点を読み解いてゆくパネルディスカッション形式のイベント。

 

プログラム:

  • The New Faces of Global Impact: Activist Collaboration for Climate Justice (気候正義活動家同士の連携)
  • Following the Threads: Mapping Fashion’s Value Chains (ファッションのバリューチェーンのマッピング)
  • A Green Transition in the Middle East (中東におけるグリーン・トランジション)など

 

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14:00~15:30 イベルドローラとの会合

 

イベルドローラ概要:

スペインのエネルギーコングロマリット。再エネでは、オーステッド、エネルに次ぐ第3位。「クリーン・スーパーメジャー」の一角。時価総額は約700億ユーロ(約10兆円)。世界のエネルギー転換を加速すべく巨額な投資をしており、再エネ発電設備・送電網整備・グリーン水素製造設備などに2020年~2025年の間に750億ユーロ(約11兆円)投資予定。2020年には日本にも参入。他にも、韓国、ベトナム、フィリピン、米国、ブラジル、オーストラリア等、世界各地の市場参入を進める。

 

会合相手:

ゴンザロ・サエンス・デ・ミエラ氏 イベルドローラ 会長直轄エリア 気候変動担当ディレクター

 

会合目的:

再エネ世界大手の同社から、将来的な再エネの展望や、再エネ主力電源化の課題(送電網、調整力等)にどのように対応しているのかについて学ぶ。同時に、欧州におけるウクライナの影響、再エネの加速の実態などについて知見を得る。

 

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16:00~17:15 アリアンツ、ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(NZAOA)との会合

 

アリアンツ概要:

ドイツ最大手の保険会社。機関投資家としては2.6兆ユーロ(約374兆円)の資産を運用する。2050年までのポートフォリオのネットゼロ達成に向けて、投資先らの移行を後押しする仕組みを設けつつ、投資・保険引受基準を段階的に強化している。

 

ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(NZAOA)概要:

1.5℃に整合する形で2050年までに投資ポートフォリオの排出をネットゼロにすることを目指す、アセットオーナーの連合体。2022年10月現在の加盟機関数は78機関、総運用資産額は10.8兆ドル(約1500兆円)。

 

会合相手:

ギュンター・タリンガー氏 アリアンツ 取締役兼サステナビリティ委員長/NZAOA議長

 

会合目的:

世界最大級の保険会社の経営陣が、気候変動及びそのリスクをどのように認識しているのかを知る。また、「ポートフォリオの脱炭素化」を牽引するNZAOAの考え方や今後の活動方針を知り、それらがどのように日本の金融機関や事業会社に与える影響を考えるきっかけとする。

 

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HSBC及びRMI気候整合金融センターとの会合

 

HSBC概要:

世界最大級の英メガバンクで、機関投資家としては6.3兆ドル(約878兆円)の資産を運用する。石炭投融資をEU及びOECD諸国では2030年までに、それ以外では2040年までにフェーズアウトする目標や、2030年までに電力・ユーティリティー関連資産の排出を75%削減する目標などを掲げている。

 

RMI気候整合金融センター概要:

米独立系非営利シンクタンク。旧称ロッキーマウンテン研究所。1982年の設立以降、世界に先駆けてエネルギー転換を推進してきたシンクタンクとして知名度・評価が高い。気候整合金融センターは、RMIがバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴと連携し、2020年に設立。金融機関の投融資ポートフォリオの脱炭素化支援に取り組む。

 

会合相手:

  • ジャスティン・ウー氏 HSBC マネージング・ディレクター アジア太平洋 気候変動共同ヘッド
  • ブライアン・オハンロン氏 RMI気候整合金融センター エグゼクティブ・ディレクター

 

会合目的:

来年グループ全体の脱炭素移行計画を公表予定のHSBCや、金融機関の移行計画策定をサポートするRMIが、どのように移行(トランジション)を考え、実践しているのかについて知見を得る。

 

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11月11日(金)

9:00~10:30 エネルギー移行委員会(ETC)との会合

 

エネルギー移行委員会(ETC)概要:

エネルギー企業、重厚長大企業、機関投資家、NGOから首脳級51名からなるグループで、脱炭素ソリューションの展開に向け、官民の意思決定者への情報提供を行う。重厚長大産業の脱炭素化に必要とされる重要技術の早期市場創出を目指す官民連携イニシアチブであり、日本政府も加盟する「First Movers Coalition」の戦略策定委員会の構成団体でもある。

 

会合相手:

アデア・ターナー卿 ETC議長

 

会合目的:

排出量が多いが排出削減の難易度も高い harder-to-abate 部門について、ターナー卿よりETCの提案する移行戦略や政策・業界の最新動向の解説を聞き、これらの産業の脱炭素化の方法やそのスピード・規模感を把握する一助とする。また、英国産業連盟の理事長や同国政府の諮問機関である「気候変動委員会」の初代会長を務めた経験を持ち、幅広い知見を有するターナー卿と、産業界の脱炭素貢献方法について幅広く議論する。

 

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11:00~12:15 国連事務総長執務室 気候行動チームとの会合

 

国連事務総長執務室 気候行動チーム 概要:

国連の最優先事項の1つとして気候変動対策を掲げるアントニオ・グテーレス国連事務総長のもと、気候行動と公正な移行のための国連自体の機能強化、国連加盟国の支援、市民の参画推進を担当するチーム。

 

会合相手:

アン=ソフィー・カリソーラ氏 国連事務総長執務室 気候行動チーム ディレクター

 

会合目的:

COP27における主要論点を把握し、今後のグローバルな気候変動に対する議論動向や、日本への影響について示唆を得る。また、世界の脱炭素化に向けた日本への期待・役割について聞くことで、「世界の中の日本の立ち位置」を把握する。

 

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※対面での対話実施予定であったが、先方に緊急案件が発生したためオンラインでの対話に変更。

 

16:30~18:00 ビジネス・パビリオンにおけるイベント登壇

 

ビジネス・パビリオン概要:

JCLPのパートナーであるWe Mean BusinessとWBCSDが共催するパビリオン。正式名称は「Business Pavilion for Climate Leadership」。ビジネスと気候変動に関わる幅広いテーマについて数多くのイベントが実施され、気候変動対策においてリーダーシップを発揮する各国の企業、企業グループ・業界団体、企業をサポートするシンクタンク等の代表者が次々と登壇し、先例の共有や次の一手に関するディスカッションを行う。

 

イベント概要:

  • テーマ:「ビジネスによる気候変動アドボカシーにおける国際的な協力関係の強化」
  • 形式:パネルディスカッション
  • 主催:Climate Leaders Groups
  • 登壇者(順不同): マリア・テレサ・ルイツ=タグル・べネロ氏(CLG Chile エグゼクティブ・ディレクター)、ゴンザロ・サエンス・デ・ミエラ氏(The Spanish Green Growth Group議長/イベルドローラ 会長直轄エリア 気候変動担当ディレクター)、三宅香氏(JCLP共同代表/三井住友信託銀行株式会社ESGソリューション企画推進部 主管)など9名

 

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18:30~18:00 リーブライク・アソシエイツとの会合

 

リーブライク・アソシエイツ概要:

エネルギー、交通、気候変動投資分野の世界的権威であるマイケル・リーブライク氏が率いるコンサルティングファーム。同氏は、ブルームバーグNEFの母体となる「New Energy Finance」を立ち上げ、ブルームバーグ社に売却した後、CEOを長く務めた。また、ロンドン交通局の取締役や大手エネルギー企業のアドバイザー、IEA等の国際機関の委員等を歴任。

 

会合相手:

マイケル・リーブライク氏 リーブライク・アソシエイツ 会長兼CEO

 

会合目的:

世界的なエキスパートが、脱炭素化に向けてエネルギー分野及び交通分野に関してどのような展望を持っているのかを知り、ビジネス・投資に対する含意を得る。

 

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11月12日(土)

8:30~9:30 A.P.モラー・マースクとの会合

 

A.P. モラー・マースク概要:

デンマーク籍の世界最大の海運会社。2040年までにバリューチェーン全体の排出(合計約6600万トン)のネットゼロ化にコミット。サプライチェーン、業界団体、政府、国際海事機関への働きかけに留まらず、SteelZeroやEV100+(中大型トラックのゼロエミッション転換)へも参加し、harder-to-abate部門(排出量が多いが排出削減の難易度も高い部門)の脱炭素転換を牽引している。

 

会合相手:

モーテン・ボー・クリスチャンセン氏 A.P.モラー・マースク シニア・バイス・プレジデント 脱炭素責任者

 

会合目的:

Harder-to-abate 部門の最先端の脱炭素動向を知り、自社のサプライチェーンや金融ポートフォリオの脱炭素化等の観点から、中長期的な示唆を得る。また、必然的に国際性を帯びる海運分野のトップ企業であり、グローバルスタンダードの形成にも長年影響力を行使してきたと思える同社から、ルール形成に関する知見を得る。

 

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11:00~16:00 COP会場にて関係者との会合