2018年11月30日

 JCLPは本日、現在政府が検討を進める「パリ協定に基づく長期成長戦略」への提言を公表しました。

  近年、猛暑や豪雨、強度を増す台風、寸断されるサプライチェーンなど、気候変動の被害は深刻度を増しています。科学的な見地からは、今後これらの被害が深刻度を増し、社会の安定が脅かされる事態が生じることも指摘されています。また、気候変動の深刻な被害を避けるには、気温上昇に歯止めをかける必要があること、そのためには世界の温室効果ガスの累積排出量に上限を設ける必要性が示されています。

 このような中、日本政府は現在、気候変動と日本の発展とを踏まえた長期成長戦略の検討を進めています。長期成長戦略は、日本の各階層に脱炭素社会という方向性を示すうえで、また、個別の気候変動政策やエネルギー政策への影響という点で、今後の日本の脱炭素化の進展を左右する最も重要なテーマです。また、国際的にも、日本の技術的潜在力への期待、及び国内外における石炭火力発電への関与への懸念という両面で、日本がどのような戦略を打ち出すのかに注目が集まっています。

 

  上記の長期成長戦略の重要性を踏まえ、JCLPは、以下の趣旨の提言を公表しました(本文参照):

  • 国民全体で気候変動への危機感を共有する:国民全体が一丸となって同じ方向に進むため、「なぜ脱炭素社会の実現が必要なのか」という理由を納得できるよう、政府が率先して発信する。

  • 「脱炭素ビジネス立国」をビジョンとして掲げる:世界に先駆けて脱炭素社会を実現し、そこで培った脱炭素ビジネスを世界展開することで、国際貢献と経済的繁栄を両立する。

  • 気候変動の危機を避けるために必要な削減規模や時間軸を明示する目的地(ゴール)として、「2050年に日本国内の温室効果ガス排出ゼロ(排出と吸収を踏まえた正味ゼロ)」を明記する。

  • 国内排出ゼロへの経路として、好循環の起点となる日本の脱炭素関連市場の拡大と、そのために必要な基盤としてカーボンプライシングと公共投資による脱炭素インフラの整備を明記する。

  • 「転換マネジメント」の仕組みを構築する:社会全体がスムーズに転換を進められるように、科学的見地を踏まえたPDCAの仕組みと、を脱炭素化の難易度が高い分野への配慮を行う。

  

 なお、提言に対する市民の支持の程度を示し、提言内容と併せて政策立案の参考資料としていただくことを目的に、全国の18~69歳の市民1,000人へのオンライン調査を実施しました。

 その結果、「気候変動は国民の生命と財産を脅かす」などのJCLPの気候変動への認識に9割以上の人が同意していること、各提言の内容については、「賛成できる」と回答した人が約3割、「まあ賛成できる」と回答した人が約6割で、一貫して95%前後の人が提言内容に賛成していることが分かりました。

 

提言本文:「パリ協定に基づく長期成長戦略」への提言(PDF)

参考:オンライン調査結果の詳細はこちら