ここ数年で、大洪水や熱波、干ばつ、爆弾低気圧、巨大台風など日本国内・世界各地で気候変動による異常気象が頻発しています。温暖化はもはや避けられるレベルではなく、社会経済や企業経営にも影響を及ぼしています。

 

気候変動は、社会の安定や事業活動を脅かす“深刻なリスク“

 政府やグローバル企業の多くは、気候変動が「食料問題や難民問題、そして国家の安全保障にすら深刻な影響をもたらす重大な脅威」であると認識しています。実際に、海外の大手保険会社や食品会社は「気温上昇が4℃になると、殆どの資産は、保険を掛けることが難しくなる」、「原材料調達が脅かされる」として、様々なリスクが顕在化しつつあることに危機感を強めています。

 

 

被害の顕在化が、大きな政策転換をもたらす

気候変動の影響が徐々に顕在化する中、国際社会は危機感を強め、政策の強化を進めています。COP21で合意されたパリ協定は「気温上昇を2℃未満に抑えるため、今世紀後半における温室効果ガスの実質ゼロを目指す」旨を明記し、今後大きな政策転換が進むという明確なシグナルを世界へ発信しました。また、最大の排出国である中国が排出量取引の実施を決めたほか、世界各国での石炭火力発電への規制強化が進むなど、「排出ゼロ」を見据えた政策強化が進んでいます。

 

社会の転換は、企業の競争力にも影響を及ぼす

 政策や社会の転換は、企業の競争力にも大きく影響します。気温上昇を2℃未満に抑制する事を踏まえると、資源会社らが保有している化石燃料資産の多くが不良在庫化(座礁資産化)するリスクがあるとして、投資家らがポートフォリオの見直しを始めています。また、炭素価格付け政策等により、市場における製品・サービスの競争力に新たな軸が加わるほか、特に若者世代を中心とした消費者サイドでも、企業の気候変動対策への関心が高まりつつあります。ベンチャー起業家は脱炭素を可能とするイノベーションに注力し、次々と技術やシステムデザインにおけるイノベーションも起こっています。

 気候変動の重大な影響、及びその回避に伴う政策の大きな転換を視野に、次世代の競争力を創出する。それが、多くの先進企業が真剣に気候変動問題に向き合い、具体的な行動を始めている理由です。