気候変動知識メニュー

気候変動問題の概要

気候変動は、社会の安定を脅かす危機である。
将来の分野別リスク  (IPCC第5次評価報告書WG2 政策担当者サマリーより抜粋)

沿岸低地: 海面上昇で洪水が増え、適応策なしでは数億人が移住を迫られる
食料安全: 約4℃以上の局所的温暖化で食糧安全保障に重大リスク
経済部門: 2.5℃上昇で世界経済の損失は0.2~2%の可能性
健康: 熱波や食料不足による病気・死亡の可能性増大
貧困: 食料不足、経済減速が新たな貧困の引き金に
人間の安全保障: 貧困増大等により、内戦・紛争リスクが間接的に増大

 

 

 

 

深刻な影響回避へ「産業革命後の気温上昇2℃以内」が国際合意されている。

・ 気候変動影響の避けるべき危険レベルとして「産業革命後の気温上昇を2℃以内に抑える」という目安が、メキシコのカンクンで開催されたCOP16(2010年)で合意されています(一般的に「2℃目標」と呼ばれています)。

・ この目標は、許容しがたい影響の回避という観点から、温暖化影響に関する科学的知見の蓄積を参照しつつ、総合的に検討された結果、国際社会が合意した政策的な判断です。

・ 産業革命後、現在までに既に0.85℃(今年は既に1℃を超えたとの報道もあります)程度、気温が上昇しており、2℃目標は「現在からの温度上昇を1.15℃以内に抑える」ことに相当します。

・ なお、ここでいう「2℃」は、全地球の平均気温を指します。全球平均気温上昇が2℃だとしても、地域的には気温上昇が1℃の場所もあれば3℃のところもあります。一般に、海洋に比べると陸地で、低緯度に比べると高緯度で、より大きな昇温が起きると予想されています。

 

・ IPCCの第5次報告書では、以下が指摘されています

  -  1℃の上昇でも熱波や大雨、洪水などの異常気象のリスクが高くなり、2℃では、北極海の氷やサンゴ礁など脆弱なシステムは甚大な危険にさらされる。

  -  3℃以上では生物多様性や世界経済全体への影響は広範囲にわたり、グリーンランドなどの氷床が溶けることで、1千年間に海面が7mも上昇するような不可逆的影響が起きる可能性がある。

  -  4℃以上になると、穀物の生産量の落ち込みや魚の漁獲量の変化などがあいまって、世界的に食糧安全保障に多大な影響が予測される。これらの影響は地域差があるため、人の移動や水を巡っての紛争などで、国の安全保障問題にまで発展するリスクがある。

  -  2℃達成に向けた対策による経済影響は、基準ケースの年率成長(1.6~3%増)を、0.06%下げる(2030年断面で、経済成長に伴う消費規模の拡大(1.4~1.8倍)を“1年以内程度遅らせる”)。

 

・ 産業界からも、大手保険会社のAXAのCEOが「2℃なら保険は掛けられるが、4℃なら多くの資産は保険の付保ができなくなる」等の発言をしています。

・ 2℃目標に対しては批判も聞かれます。気候変動の影響に脆弱な島嶼国らは「1.5℃」を主張していますし、逆に一部の科学者らは「2℃目標は科学的根拠が無い」として批判しています。しかし、結局のところ、「何度上昇に抑えるかは、価値判断を含む問題」であり、その意味で、多くの知見や議論の蓄積の結果である政治合意を尊重するという立場が大勢です。

・ 去る11月に開かれた、COP21準備会合(閣僚級会合)では、対策を更に強化すべく、「2℃目標」をCOP21合意に盛り込む方向で一致したと報道されています(11月11日読売新聞等)。

・ 参考:国立環境研究所、COP16 カンクン合意、EICネット、読売新聞他
 

気温の上昇は、温室効果ガスの『累積排出量』に依存する。

IPCC第5次報告書は、気温上昇は、温室効果ガスの累積排出量と比例関係であることを示しました。
・ これは、気温上昇を一定に収めるには、いずれ(正味)排出量をゼロにする必要性を示しています。

出典:図1 AR5 WG1 政策決定者向け要約 図SPM.10より、IGES作成


・ この累積排出量で見ると、未だ日本を含む先進国の気候変動への寄与度が大きいことが分かります。

・ これが、途上国が先進国の責任を問うひとつの根拠となっています。